別府 千恵様
2023年9月27日
北里大学病院 副院長・看護部長
1.近年の看護職の進化についてどのようにお考えでしょうか。
もともと看護が持っている価値観である生命に対する畏敬や多様性の尊重は、現代社会にとって重要事項である。しかしながら日本社会は達成に課題を抱えている。この分野で看護職が発言し、貢献できることがあると思う。
2.看護師が医療の未来を形作るための(3つの)重要な機会は何でしょうか。
政治的な力を持つことが重要である。これまでケアの力社会の中で、軽視されてきた。しかし、良い意味で、コロナ禍で関心を得ることができた。しかし看護職の犠牲も大きく、退職を選択する看護職も多くなった。一時的な感謝の言葉だけでなく、看護に対して経済的な価値(診療報酬)を認めてほしいと考える。
3.看護師のセルフケアとウェルビーイングを支援するために看護専門家・管理職ができることはどのようなことでしょうか。
看護職に、自分の仕事が価値のある仕事であることを信じさせられるか重要であると考える。それにより、自分を高めて良い仕事をしようとする、各個人の行動が生まれてくると考えている。
4.看護師による患者ケアや医療システムへの貢献をより良く社会に認識されることについてどのようにお考えでしょうか。
まだ、全然認識されていないと思う。医療システムのほとんどに看護が関与しているが、そこに関与していることが表在化していない。隠されている側面もあるが、看護職自身が積極的に社会にアピールできていないことも一因であると考えている。
5.看護専門家・管理職はどのように看護師の継続的な能力開発をより良く支援できるでしょうか。
長期的に一人一人の看護職のキャリアを考えることが重要である。管理者には、所属している施設の利益だけでなく、社会全体の利益に関心を持ってほしい。各看護職個人のキャリア形成を支援することで、働く場所は変化したとしても、国民は広く利益を得ることが増えてくると考えている。管理職が、公益性に目を向けた専門職の育成ができることを夢見ている。
6.看護職員はベッドサイドを越えて地域コミュニティの(看護的・医療的)教育にどのような役割を果たしていますか。
地域で生活する、病気を持った人々がその人らしく生きていくために、看護の支援は欠かせないと考えている。日本では、医師の判断に重きを置かれ、患者が生活するうえで必要な軽微な薬剤や資材についても看護職が決定することができない。今ようやく、話題になりつつあり、医師からのタスクシフトを実のあるものに変える時期に来ていると考えている。ただ単に医師の仕事の軽減のために、看護職が権限のないタスクを引き受けることはあり得ないと考えている。